村松貞治氏(愛知県出身の指揮者)が音楽監督をつとめるStrathfield交響楽団の定期演奏会を長男と聴きました。曲目は人気映画の主題歌で、長男が大好きなStar WarsやPirates of the Caribbeanなどの迫力ある演奏を楽しみ、長男は大満足の様子。会場が市役所の講堂とあって音響はいまいちですが、息の合った演奏で聴衆も一体感を味わうことができました。
Harmony(調和)は、音楽の世界、特に交響楽では最も大切な要素です。
先日、Wollongong市役所でInternshipをした際、多文化共生の担当者が口にしたHarmonyという言葉を心の中で反芻しています。彼女は「Harmonyが何よりも大切なの」と何度も熱く話してくれました。彼女はYugoslavia紛争により豪州へ逃れて来た元難民で、戦争については多くを語りませんでしたが、心に大きな傷を背負って生きているのだと想像がつきました。平和の尊さを知り、異なる民族が調和することが何よりも大切だと誰より理解しているが故に、彼女は多文化共生の仕事に誇りを持って取り組んでいるのだと思います。
Yugoslaviaは、欧州の火薬庫と言われたBalkan半島の中でも、「七つの国境、六つの共和国、五つの民族、四つの言語、三つの宗教、二つの文字、一つの国家」と表現されるほど統治が難しい条件でしたが、かつて優れた指導者の下で理想的な多民族国家を構築し、Soviet連邦とも一線を画しました。でも、指導者が去り経済が傾くと、民族主義者が台頭し紛争が起こり崩壊してしまいました。今、世界では軒並み民族主義的傾向の強い政権が誕生して、Yugoslavia紛争直前のような様相を呈しているので先行きが心配です。NationalismかGlobalismか、先の敗戦後に図らずもcosmopolitanを気取っている日本が世界で果たす役割は大きいと思います。
撮影場所 Strathfield Town Hall