About Me

このblogは、筆者が豪州で暮らした2年間に起こった出来事や、見聞したこと感じたこと、好奇心の赴くままに訪ねた豪州とNew Zealandをはじめ関係する国々の旅先で出会った美しい人や風景、興味深く心を動かされたことなど様々な体験をCameraのFinder越しに記録した写真と共に綴った日記(紀行)です。
これから豪州に住まわれる方、豪州とNZ等を旅行される方の参考になれば幸いです。
ご質問やお気づきの点がありましたら、遠慮なく書き込みください。

自らを固定観念から解き放ち、柔軟性を高めた海外勤務

初めての海外勤務と仕事のこと

宮城県出身で、日本の地方自治体等の国際化に寄与する一般財団法人で勤務し、2017年に豪州へ家族帯同で赴任し、2019年までの2年間にわたりSydneyで働きました。
豪州とNZを管轄するSydneyの事務所では、日本と豪州・NZ間の姉妹都市交流の橋渡しと支援、多文化主義政策など先進施策に関する調査と情報提供、研修企画をはじめ、日本の地方自治体等による海外活動の支援のほか幅広い業務に携わりました。
豪州とNZの地方自治体の首長や議員など要人とお会いする機会が多く、名門大学で講義するなど貴重な経験もでき、やりがいを感じる仕事でした。
私がお世話になった豪州とNew Zealandの方々は、みな明るく大らかで、素敵な親日家ばかりでした。

多様性を受け入れる寛容な豪州社会

豪州は人口約2,500万人のうち4分の1以上が外国生まれという移民大国で、世界で最も成功している多文化共生社会の一つです。民族・文化・社会的背景の異なる人々が、互いの違いを認めあい、多様性を尊重し、すべての人が平等に社会参加できる国づくりを目指してきました。多様性こそが創造や革新を育み、国を繁栄させる原動力であると考え、世界中から集まる若い移民が社会の活力を維持し、経済成長をもたらしています。
現地で暮らすと、多文化共生の考えが社会全体に浸透していることを実感し、自分が移民や余所者だと意識することはありませんでした。僕は出来る限り豪州人と付き合い、子どもを現地校に入園・入学させたことで、家族同士のつながりから多様な移民と親しくなり、豪州社会をより深く知ることができました。
豪州では個人の自由が尊重され、自己責任の意識が高い社会である一方、Mateshipという豪州特有の仲間意識、助け合いの精神が息づき、社会的弱者への配慮があることも特徴です。
豊かな自然環境、災害が少なく温暖な気候、底なしに明るく大らかで親切な人々、合理的で煩わしさがない社会の仕組み等が相俟って、とても居心地が良い国でした。

海外での学びを生かして

帰国後は国際交流に関する業務を担当し、海外勤務を通じて広めた知見、既存の価値観に縛られず、物事を俯瞰的に捉え客観的に判断する姿勢、鍛えられた現場対応力など貴重な経験を仕事に生かしています。
豪州とNZでたくさんのことを学び、日本にも良いものがたくさんあることにも気づかされました。日本には豪州人が憧れ、世界に誇れる優れた文化や先端技術がある一方、労働生産性の低さや社会のICT活用の遅れなど先進国の水準から著しく劣っていることがあることも痛感しました。

日本人のこと

海外生活を通じて、そして帰国してからより強く意識させられたことがあります。それは、日本人特有の考え方と行動様式です。
豪州で仕事や趣味を通じてたくさんの外国人と付き合った僕は、多様な社会的・文化的背景を持つ人々に触れたことで、世界には多様な価値観があり、人は生まれ育った環境によって物事の捉えや考え方がまったく異なることにあらためて気がつきました。日本人と豪州人はじめ外国人とを対比することで、その違いが浮き彫りになり、日本と日本人のことを冷静に見つめることが出来たのです。
実は、豪州に赴任した時は現地社会にすんなりと溶け込めたものが、日本に帰国した時には大きな戸惑いを覚えました。帰国して以来、豪州では決して感じることの無かった息苦しさを強く感じ、日本の生活にもう馴染めないかもしれないとすら思いました。振り返ってみると、豪州では自分を雁字搦めにしていた日本の様々な縛りから解放され、生まれ変わったように自由を謳歌していたのです。
日豪を比較して、特に考えさせられたことは、日本人は集団への帰属意識が強すぎること、日本人の自尊感情(自己肯定感)は極端に低いこと、そして日本社会の特に僕が住んでいる田舎に存在する強い同調圧力です。これらは日本人が集団として力を発揮する原動力になっている反面、個人の自由を阻害して、寛容さと伸びやかさを失わせている原因だと感じています。それから、日本人は集団主義的な傾向が強いと思わせる反面、個人主義という名の利己主義が罷り通っていることにも気づきました。
豪州人の、多様性を踏まえ相互理解を深めながら、人生を自分らしく豊かに楽しむ生き方、家族を大切する働き方はとても新鮮で、ぜひ見習いたいと思いました。
豪州では当たり前ですが、日本では決して当たり前でない「肌の色も言葉も年齢も性別も関係なく、みんなちがって、みんないい」という、個性を尊重し多様性を認め合う社会を、日本でもぜひ実現出来たら良いと思います。