先住民の歌と踊り

Inanay Gupu Wana(子守唄)

Traditional Australian Aboriginal song

長女がPreschoolで習った先住民の歌と踊りを披露してくれました。
豪州が英国人に植民地化される前から住んでいた、先住民とその文化を理解するため、いくつかの学校等では先住民を招き、その歌や踊りなどを習うのだそうです。とても良い取り組みだと感心しました。

ここで、豪州の教育現場における文化的多様性と多文化教育について、少し紹介したいと思います。

NSW州の公立校における児童生徒の言語の多様性

人口約2,500万人のうち約4分の1が外国生まれという移民大国で、多文化社会である豪州の中でも、SydneyがあるNSW州は特に移民が多く、文化的多様性に富んだ地域です。
同州は多文化主義政策の先進地として知られ、移民受入れのための手厚い支援策を講じている中、英語を母国語としない移民の子供たちが現地社会へ溶け込むための教育現場における支援も充実させており、生徒が安心して学べる環境づくりに積極的に取り組んでいます。
同州に在籍する生徒のうち、3人に1人が非英語圏出身者で、5人に1人が家庭で英語以外の言語を話し、14人に1人が先住民で、80人に1人が難民というように、多様な文化的背景が存在しています。

NSW州教育省は年に1度、NSW州の生徒の多様性を把握するための調査を実施しています。
2017年3月時点の調査によると、NSW州の公立小学校・中学校・高等学校に在籍している児童生徒797,099人のうち、65.8%が英語を母語とする家庭の出身で、残りの34.2%(272,401人)が英語以外の言語を母語とする生徒(LBOTE : Language Background Other Than English)でした。
NSW州の公立学校には、実に238もの異なる言語を母語とするLBOTEが在籍します。
また、LBOTEの割合は、2016年から1.1point、2015年から1.9point上昇しており、生徒の言語の多様性が拡大していることを示しています。

移民等の児童生徒への多文化教育と英語教育

NSW州の公立学校は多文化に富む豪州の姿を反映しており、LBOTEが高い割合を占め、児童生徒に加え教師等の学校関係者は多様な文化と言語、宗教的背景を持っています。
多文化主義政策が浸透する同州では、教育においても多文化共生の考えが重視されており、NSW州教育省は、英語以外の言語を母国語とするすべての児童生徒に利益をもたらせる多様な学習環境の構築に努めています。

文化と多様性(Culture and diversity)

(1)多様性の理解
NSW州教育省と学校等の教育機関は、先ず、教育現場における児童生徒とcomunityの文化的多様性を理解することで、児童生徒の教育と保護者に対する支援に関する要望に応えています。
児童生徒が入学する際、入学申請書に児童生徒の出生国、豪州への渡航日、英語能力、家庭で話されている言語、宗教などの文化的な背景から、児童生徒とその保護者を支援する方法、難民であればその状況など詳しい情報の提供を求め、学校等の管理者はそれを学習指導計画の作成に役立てています。
NSW州教育省は、児童生徒への多文化教育として、NSW州の多様性を説明し、反人種差別と地域社会の調和、異文化の理解、多様な文化的背景を持つ児童生徒間でより良い関係を築くための各種programを提供しています。
(2)文化の理解
豪州人は誰もが多様な文化的背景を有していると認識され、その多様性が個人の考えや行動、identityの確立に影響を与え、相互作用を及ぼすことが理解されています。
教師が現代の豪州文化を理解することは、教科の範囲を超えて、生徒がその背景にある豪州文化について理解し学ぶのに役立ちます。
児童生徒は、identityの概念、文化の複雑さを学んでいく中、教師は児童生徒が固定観念に縛られ、視野を狭めないように見守ることが求められています。

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