3日目の計画は、午前中にTe AnauからMilford Soundへ移動し、Cruise船からFiordの絶景を堪能。午後は世界屈指の人気を誇るRouteburn Trackの一部であるKey Summit Trackを歩き、雄大で美しいSouthern Alpsを眺めながら家族で山歩きを楽しみます。そして、Te Anauにまた戻る走行距離235kmの小さな旅です。

前日は、我らがNZ縦断の旅のうち、一番の目的地であるAoraki/Mt Cook National Parkを訪れ、Hooker Valley Trackを歩き、NZ最高峰のAorakiを間近に見て感激しました。そして、Turquoise blueが神秘的な氷河湖のPukaki湖に癒され、例え運悪くここで旅が終了したとしても後悔しないほど満たされた内容でした。1日で走行距離685kmはちょっと無理があり疲れましたが、そんな疲れなど吹き飛ばすくらい魅力にあふれた旅で、3日目も期待が大きく早起きも苦になりません。
Te Anau to Milford Sound
Te AnauからMilford Soundまで117km、1時間40分ほど要します。Milford Soundを朝9時に出航するScenic Cruiseを予約していることから、少し余裕を持って宿を6時30分に出発し、朝食は走行中に済ませることにしました。朝食と昼食は、観光案内所の近くにあり、朝6時から開店しているMiles Better Piesで買いました。Pieが美味しいと評判のお店です。
店名 Miles better pies
所在地 1 Lakefront Dr, Te Anau 9679, New Zealand
途中で休憩をしながら、Milford Soundに出航時間の30分前に到着しました。駐車場はすでに混雑しており、桟橋から近い順から埋まっています。駐車するとすぐにSandfly対策を行い、桟橋へ急ぎました。Sandflyとは蚋みたいな虫で、夏のNew Zealandの湖沼などで夏に猛威をふるう害虫です。刺されると軽い痛みの後に赤く腫れ、強烈な痒みに襲われるそうで、New Zealandを測量した英国海軍士官でかの有名なCook船長も、「最も有害な生物」と書き残しているほどの害虫です。
Milford Sound Scenic Cruise
New Zealand南島の南西部はFiordlandと呼ばれ、世界遺産のTe Wahipounamuを構成する4つの国立公園のひとつで、同島南西部の角を占める同国で最大の国立公園であるFiordland国立公園があります。NZ南島の西海岸は氷河による侵食作用によって形成された複雑な地形のFiordがあり、中でもMilford Soundは、氷河が悠久の時をかけて創りあげたFiordの景勝地です。
桟橋にはCruise船を運航する数社の窓口が並び、予約した情報を伝え乗船券を発行してもらいます。Milford SoundにはQueenstownとTe AnauからTourで訪れる客が多いためお昼前は大混雑しますが、朝一番の便は遠いQueenstownからの客がまだ到着しないため、比較的空いています。それでも、ある程度の人数が並んでいたので、船の良い席を確保しようと脇目も振らず乗り込みました。

出発時の天気は、あいにく雲に覆われ青空はほとんど見えません。天気予報によるとお昼から好天になるとのことで、雲が早い時間帯に切れることを期待して船に乗り込みます。船は波のない穏やかな入り江に向かい滑るように出港しました。
細長い湾の両側は垂直に切り立った崖が続く典型的なFiordの地形です。低く垂れ込めた雲のところどころに青空と高峰の頂が見え隠れていますが、崖の上部は雲に覆われどれだけ高さがあるか分りません。あいにくの天気と言いたいところですが、これはこれで風情があります。
そして、地元の人に言わせれば、Milford Soundを堪能するのは、晴天時より雨天時の方が見応えがあるそう。Fiordは岩肌がむき出しで表土や植物が少なく、降った雨は地中に浸み込まず、すぐに滝となって勢いよく流れ落ちます。晴天時に見ることのできる滝はふたつに過ぎませんが、雨に降ると無数の迫力ある滝が現れるのだそう。だから、ここを訪れる際は雨天でもがっかりすることはありません。晴天時には出会えない迫力ある景色を楽しむことができるのです。

船はどこにも立ち寄らず、出港して30分くらいで湾を抜け外洋に出ました。波は穏やかで、雲が薄くなってきました。このTasman海の向こうは豪州大陸です。

外洋から折り返し出航地点へ戻ります。雲が少しずつ切れていき、期待が高まります。

雲が高度を上げると、往路には見えなかった断崖絶壁が姿を現し、その迫力に目を見張ります。

Milford Soundには、海豹、海驢、海豚、鯨、野鳥、Penguinsなど野生動物が生息しています。動物を見つけると、船長は船を近くまで寄せてくれます。

僕らが訪れた時は、前日夜から雨が降ったので、幾筋もの滝を見ることが出来ました。船長は水飛沫を大量に浴びるほど接岸してくれるので、甲板に出るとその迫力を全身で感じることができます。

途中で下船できる場所が何箇所かあり、数名の方が下船し乗船してきました。CanoeingとKayakingを楽しんでいる人たちも見かけます。

約90分の乗船を終え、出発地へ戻りました。多くの観光船が出港していましたが、乗船待ちの客がたくさんいました。
Milford Track
僕らは行く時間がありませんでしたが、Milford Soundと並んで有名なMilford Trackについて、簡単に紹介しておきます。
Milford TrackはNew Zealandで最も有名な遊歩道で、世界屈指の人気を誇ります。Te Anau湖とMilford Soundを結ぶこの道は、山岳風景とFiordの絶景を楽しめ、詩人Blanche Baughanが「世界一美しい散歩道」と評し、世界中の自然愛好家を魅了して止みません。
3泊4日の旅はTe Anau湖北端から始まり、いくつもの吊り橋や板が敷かれた歩道を辿り、峠を越えてMilford Soundに至る距離54㎞、最高到達地点の標高1,146m、標高差約700mの道程です。手付かずの自然が美しい湖、空に向かって聳え立つSouthern Alpsの雄大な山々、広大な渓谷の眺めを満喫し、同国内最大級の落差を誇るSutherland滝の深い霧を体感できます。
晴れた日には絵葉書そのものの絶景が広がりますが、実際に歩いた人が言うには、雨の日に山の斜面をいくつもの滝となって流れ落ちる情景こそ、Milford Trackの醍醐味なのだそうです。
www.newzealand.comより
Homer Tunnel
朝にTe AnauからMilford Soundへ移動する途中、雲がかかり霧に包まれていたので、景色を見ることが出来なかったのですが、お昼間には空がだいぶ晴れ渡り、氷河が削った雄大なSouthern Alpsの風景を眺めることが出来ました。

QueenstownからMilford Soundまで直線距離は50km程度ですが、Southern Alpsの山並みが峻険すぎるため道路が作られなかったようで、Te Anauを経由して何倍も回り道をしないと辿り着くことが出来ません。
NZらしい牧歌的な景色が心地よいState Highway 94を通り、Milford Soundに近づくと次第にSouthern Alpsの存在を感じるようになります。Milford Sound手前にはSouthern Alpsの岩塊が屏風のように立ちはだかっています。流石に垂直の壁を縫って山を超える道路は作れそうにありません。垂直に聳り立つ岩肌に、小さな隧道、有名なHomer Tunnelが打ち抜かれています。一車線だけの狭い隧道のため、通行する際は相互通行でしばらく待たされます。隧道の中はとても暗く、濡れて、勾配もあるため運転には慎重さが求められます。さらに驚くことに、隧道内は岩盤と配線がむき出しの状態で、日本では見られない隧道です。

Homer Tunnel Parking Area

隧道を通り抜けると、そこにはHomer Tunnel Parking Areaという絶景の展望台がありました。岩塊の頂には、万年雪があり、融け出した水が幾筋もの滝となって岩肌を流れ落ちます。


Gertrude Valley Lookout
Homer Tunnel Parking Areaから、1kmも車を走らせるとGertrude Valley Lookoutがあります。そそり立つ山塊と、谷間に広がる草原。氷河が数え切れないほどの歳月をかけて形成した地形は興味深いです。


素晴らしい風景を味わったら、休憩しながら車中で昼食をいただき、Key Summit Trackの入り口となるThe Divide Carparkへ向かいます。
