NZ縦断の旅 2日目

2日目の計画は、NZ縦断の旅いちばんの目的地であるAoraki/Mt Cook National Parkを訪れ、公園内で人気の高い遊歩道のHooker Valley Trackを約3時間かけて往復約10km歩き、NZ最高峰のAorakiを間近で望むこと。その後は、再びQueenstownまで戻り、Te Anauまで移動するという、走行距離685kmのちょっと無理がある計画です。

こんな無謀な計画を立てた訳は、2日目の当初計画ではQueenstownからTe Anauを経由してMilford SoundでCruiseをする予定でしたが、直前の天気予報を見て計画変更したからです。
この旅一番の目的地であるAoraki/Mt Cook National Parkには4日目に訪れる計画でした。ここだけはどうしても快晴の日に行きたかったのですが、週間天気予報とにらめっこしていたら、Aorakiが確実に晴れそうな日は2日目しかないことが分かりました。そもそも雨が多く好天が期待できないMilford Soundは優先順位を下げ後回しとし、3日目に行くことにしました。
そこで問題なのは宿です。Te Anauの宿はすでに予約(支払い)済みで、年末年始の休暇にあたる繁忙期のこの時期、NZの観光地はどこも混雑し、人気観光地付近では宿が取れないため、かなり無理をした訳です。
そして、Milford Sound Cruiseも人気で、需要の高い午前中の便は早い時期から予約が埋まっていました。早く予約したいところですが、Cruise料金は高く、時間変更もできません。Aoraki訪問を優先する計画だったので、天気予報を見ながら予約を躊躇っていました。Aorakiの催行日を決定した後にすぐ予約したところ、希望していた朝一の便が確保できて安心しました。

Queenstown to Aoraki/Mt Cook National Park

Airaki/Mt Cook National Parkに7時到着を目標に、Queenstownの宿をまだ真っ暗な4時に出発しました。Visitor Centreまで263km、約3時間の道のりです。朝食は車内で済ませます。
NZの道路は日本や豪州と同様に左側通行で、よく整備されているため運転しやすいものの、山岳地帯は曲がりくねった道が多く、速度を上げることができません。焦る気持ちを抑えながら安全運転を心がけます。
途中の山岳地帯で美しい朝焼けに出会い、思わず車を停め写真を撮りました。左側の車は借りたSUBARU Legacy(豪州市場のみLiberty)です。
ちなみに、豪州市場のみLibertyとして売られている理由は、豪州では戦争遺族を支援するLegacy Australiaという非営利団体があり、Legacyという名称は戦争を想起させることから別名となっています。

State Highway 8

Lake Pukaki

Airaki/Mt Cook National Parkの手前には南北に細長いPukaki湖があります。この湖で朝日が昇り、しばし休憩しました。

NZは自然が豊かで湖がたくさん点在しています。でも、北島と南島の湖を比べると形が異なるのが分かります。南島の湖は細長い形状のものが多く、北島の湖は丸いものが多いです。その理由は湖の成り立ちによるものです。南島は山岳が侵食されてできた湖ですが、北島は火山活動により作られたものなのです。

Aoraki/Mt Cook National Park

Aoraki/Mt Cook国立公園にはNZ最高峰と同国で最長の氷河があります。空に届きそうな高峰をはじめ、数々の氷河や万年雪、満天の星空など、雄大でさわやかなSouthern Alpsの魅力を満喫できるところです。

Hooker Valley Track

予定通りの時刻にAoraki/Mt Cook国立公園に到着しました。宿泊施設等が集まるAoraki Mount Cook Villageへは向かわず、同公園で最も人気のある遊歩道のHooker Valley Trackの起点、White Horse Hill Campsiteに車を停めました。ここでは遊歩道の状況が示され、お手洗いがあり水も補給可能ですので、準備をしてすぐに出発します。

Hooker Valley Trackは左上の地図のとおり、White Horse Hill CampsiteからHooker Valley Trackと示されたCameraのIconまでの遊歩道です。終点の氷河から流れ出た川が作ったHooker氷河湖越しに、美しく雄大なAoraki/Mt Cookの絶景を見ることができます。
Hooker Valley Trackは、Aoraki Mount Cook Villageから歩けますが、約3kmも離れています。車で来られる場合、State Highway 80(Mount Cook Rd)を進み、Aoraki Mount Cook Villageに入る直前で、Hooker Valley Rdへ右折する看板があるので、右上の地図を参考に、White Horse Hill Campsiteへ向かった方が歩行距離が短くなり楽です。

さっそく歩き始めました。この遊歩道は、起点から終点のHooker氷河湖まで片道約5.5km、標高差わずか約130mという初心者向けの散歩道で、危険箇所はありません。適度に運動ができる方なら、幼児から高齢者までどなたでも無理なく歩くことができます。
ただし、山岳地帯ですので天候が変わりやすいため注意が必要です。また、道中3カ所に吊り橋があります。

起点から15分くらいでMueller氷河湖見晴らし台に到着しました。ここからAoraki/Mt Cookは見えませんが、氷河や万年雪をまとった急峻な岩峰を眺め気持ちが高ぶります。

Mueller氷河湖見晴らし台のすぐ下には、ひとつ目の吊り橋があります。一度に通過できる人数は20名までと書かれています。しっかりとした作りの吊り橋で、あまり揺れないので高所恐怖症の方でも大丈夫そうです。

吊り橋の上からの眺め

Hooker川に沿って整備された高低差の少ない平坦な道を進んでいきます。ひとつ目の吊り橋から30分くらいで二つ目の吊り橋に着きます。

二つ目の吊り橋からしばらく歩くと、進行方向右側の急峻な山の陰に隠れていたAorakiが顔を出し、その雄姿を仰ぐことができました。3,000m級の山々に囲まれた渓谷の中で、Aorakiは一際高く天に向かって突き出ているのですぐ分かります。

遊歩道がHooker川のすぐ脇に迫る地点から

終点のHooker氷河湖まで行きたいけど、体力と時間がないという方は、この河原で折り返しても充分楽しめるでしょう。

道の脇に広がる草原の中には、可憐な高山植物が姿を見せてくれます。
Aorakiを正面に見ながら歩ける遊歩道は、とても気持ちが良い散歩道です。この日は午後から天気が崩れる予報でした。雲がかからないうちに美しい勇姿を目に焼き付けなければと、一秒でも早く終点に行きたいと逸る気持ちを抑えられず、家族をゆっくり歩かせ、僕は一足先に向かいました。
ちなみに、途中に1箇所だけお手洗いがあります。

三つ目の吊り橋を渡ると、緩やかな登り坂がありますが、その先はもう終点のHooker氷河湖です。

Hooker Lake

長い緩やかな坂を越えると、一気に展望が開け、終点のHooker氷河湖見晴らし台に到着します。出発地点から約1時間30分の道のりでした。健脚の方なら1時間で来ることができます。見晴らし台から氷河湖畔へと降りていくことができます。

湖畔から氷河湖越しにAorakiを正面に臨む

Hooker氷河湖には、氷河の末端から流れ出た大きな青白い氷の塊がたくさん浮いていて、風に流され移動しています。雲がいくつも湧き、Aorakiを何度も包み隠そうとしているかのようでした。この山岳地帯は天候が変わりやすく、快晴に恵まれることは珍しいです。この日は適度に雲がかかり、Aorakiをより美しく引き立たせてくれました。

AorakiとはNZ先住民のMāori語で「雲を突き抜ける山」を意味します。その名の通り標高3,754mとNZ最高峰です。
世界最高峰のEverest登頂という偉業を達成したNZ出身の登山家にして冒険家で養蜂家でもあるSir Edmund Percival Hillaryが、登山技術を磨いた山です。

岩と氷雪の世界、Aorakiの大自然を満喫し、家族と何枚も記念写真を撮影しました。

いつまでも山を眺めていたい、名残惜しい気持ちでいっぱいでしたが、Aorakiを後にし出発地点へ戻ります。
写真左上のAoraki Mount Cook Villageでひときわ大きな建物がHermitage Hotelで、昼食をいただきます。

Hermitage Hotel

Hermitage Hotelは、Aorakiの眺望が楽しめる部屋が自慢の世界的に有名な宿です。ここに泊まりたかったのですが、旅行の数カ月前には予約でいっぱいでした。繁忙期にNZを旅行される方は、半年以上前から計画を立てて予約されることをお勧めします。
宿の正面右端には、Sir Edmund Hillaryの銅像がAorakiを向いて屹立しています。このHotelから、氷河cruise、Tasman valley探検、星空鑑賞、Sir Edmund Hillary Alpine Centre見学など、様々なactivitiesを体験できます。

Sir Edmund Hillary Caféで、Aorakiと3,000m級の雄大な山々の美しい山岳風景を眺めながら、昼食をいただきました。長女は寿司、僕は豪州でもお馴染みのBeef Pieと、英国の中世時代から食べられている伝統菓子の定番Carrot Cakeです。

Sir Edmund Hillary Caféの隣には、小さな博物館らしきものがあります。

Lake Pukaki

State Highway 80(Mount Cook Rd)

Aoraki/Mt Cook National Parkを堪能した後は、Te Anauの宿へ急いで向かいますが、Pukaki湖が昼光を反射しとても綺麗だったので、思わず車を停め、何枚も写真を撮りました。

国立公園を美しく彩る氷河湖は、独特のMilky BlueやTurquoise blueの色をしています。氷河湖に見られる牛乳を溶かしたような乳白色は、氷河が動く際に岩を削り、細かく砕かれた岩石の粒子が、湖の水に溶け込むことによって生み出されるのだそう。湖水の色は天候や時間帯など太陽光の当たり具合によっても微妙に変化し、いろんな表情を見せてくれます。

途中、何度か小休憩をしました。State Highway 6 and 8(国道6号と8号)と言っても、日本の3桁国道程度の道路です。途中、人家はまばらで、店や給油所などはほとんど見かけないのですが、小さな可愛い土産屋が地産品を売っていました。

Legacyはすこぶる調子よく、Te Anauまで424kmの道のりを、快適に飛ばすことができました。

Te Anau

宿のCheck-in時刻を気にしつつ、予定より少し遅れて2日目の宿泊地Te Anauに到着しました。NZや豪州の小さな宿のCheck-in時刻は17時とか遅くても20時までには閉まってしまうので、日本人の感覚だと驚きます。
それから、NZで1日の走行距離685kmは無茶でした。豪州の内陸と違い、だいぶ時間がかかります。
Te AnauはTe Anau湖のほとりの小さな街です。街で人気のCafeで夕食をいただきゆっくり休みました。量が多くて食べきれないほどでした。

夕食 The Olive Tree Cafe
所在地 52 Town Centre, Te Anau 9600, New Zealand

宿泊 Alpine View Motel
所在地 15 Quintin Drive, Te Anau, 9600
Check-in終了時刻 19:30

NZ縦断の旅 まえがき

NZ縦断の旅 3日目午前

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