豪州にはAustralia Dayという毎年1月26日に祝われる国民の祝日があります。
1788年に英国から派遣された最初の植民船団がSydneyに到着した日を記念した建国記念日です。
でも、これは英国系の人々にとってのことで、先住民にとってはこの日が受難の始まりでした。
この年から先住民は土地を剥奪され、虐待され、殺害され、旧大陸から持ち込まれた伝染病により人口が激減しました。
また、先住民と白人との同化政策が行われたため、先住民の伝統的な生活習慣が失われ、独自の文化と尊厳が踏みにじられました。
つい数十年前まで世界でもっとも劣った惨めな人種だと決めつけられ、被支配者として社会の底辺に置かれてきたのです。
市民権がようやく与えられ、名誉と尊厳を回復し支援が行われていると言うものの、さまざまな問題を抱えています。
Sydenyの中心部や内陸部で、先住民の暮らしぶりを垣間見ると、豪州社会にうまく溶け込めず、根深い問題があると気づきます。

写真はOpera houseで行われた先住民の踊りと歌を披露するDance Ritesという行事の時のひとこま。
混血が進み白人に近い肌の色をもった方もいますが、その出自を誇りとして伝統の文化を守っています。
豪州大陸は長らく他の世界と隔絶されていたので、Aboriginal Australiansの文化は独特です。
どの文化にも似ていない独自の芸術、音楽、世界観を持ち、興味深いです。
農耕や牧畜を行わず、狩猟を生業として数万年にわたり生活し、持続可能な社会を守って来た先住民は、原始的であっても文字文化を持たなくても、決して欧米人に劣っているとは思いません。

ちなみに、先住民と言ってもたくさんの出自がありますから、現在の豪州ではAboriginal Australiansという表現は好まれず、Indigenous peoplesと言われます。

日本でもアイヌ民族に対して同様のことが行われてきました。