Katherine to Kakadu National Park
いよいよ旅も終わりに近づいてきました。この日の計画は、世界遺産Kakadu国立公園までの398km。先住民の壁画と絶景を楽しむ予定です。
豪州は広大なので、都市間の移動はもっぱら飛行機が主な交通手段。太平洋に面した主要都市Sydneyと印度洋に面したPerth間は飛行機ですら約5時間も要します。そんなお国柄のため、乗車時間が長く長距離移動に不便な鉄道の旅はとうの昔に廃れましたが、今なお愛され世界でも有数の人気を誇る2つの豪華な長距離鉄道の旅があります。大陸縦断鉄道The Ghan号と、大陸横断鉄道Indian Pacific号です。豪州大陸を縦断するにあたり、憧れの列車The Ghanは第一候補だったのですが、価格が高すぎるのと予約が取れないので、早々に諦め、自動車での旅にしました。

北部準州の北部地域は熱帯性気候で、雨季と乾季がはっきり分かれます。雨季には水があふれ、広大な土地が水没してしまいます。水没する箇所には、水深を示す看板が設置されています。

世界遺産、Kakadu国立公園の入り口にて。
州都Darwinから東へ約250kmの距離に位置するKakadu国立公園は、手つかずの自然と先住民の文化が残る、四国よりも広い約2万㎢の広大な公園です。豪州で初めて世界遺産に登録された、最も重要な国立公園のひとつでもあります。

明朝、夜明け前に集合のYellow Water River Cruiseに参加するため、場所を下見しました。入江鰐に注意という看板にちょっとびっくり。
Bowali Visitor Centreをのぞいてみました。Kakadu国立公園の情報がたくさんあり、先住民の文化を学ぶことができます。Cafeや土産屋などもあります。

この公園を訪れるなら乾季がおすすめ。雨季となる12~3月は道路が水没し、Snorkelを装備した4WDでも行ける範囲が限られます。
荒野のOutbackや雨季には水没してしまうTop Endなど、自然環境の厳しい北部準州で活躍する車はToyota Land Cruiserです。8割がToyota、残りが日産Patrol(Safari)と三菱Triton、その他でしょうか。英国生まれで豪州人にも人気のLand Roverは、都会でこそ見かけますが、こうした過酷な環境ではお目にかかれません。日本車の耐久性と性能には絶対の信頼があるようです。
豪州大陸で人類が印した歴史は、6万年以上前にまでさかのぼると言われています。洪積世末の第4氷河期の中頃に東南亜細亜から島伝いに豪州大陸へ移動してきた先住民Aboriginal Australiansは、独自の文化を持ち、農耕や牧畜を行わず、大陸全土で狩猟と採取による生活を営んできました。英国人等が入植した頃には約100万人が住んでいたと推定されています。
Kakadu National Parkでは、太古の時代に描かれた先住民の岩絵を見ることができます。文字を持たなかった先住民は、絵を描くことで、様々な情報を伝達していたそうです。多くの動物などが描かれ、豊かな営みだったことが伝わってきまます。
先住民について、西洋人はつい数十年前まで、世界で最も原始的で劣った人種だと決めつけ蔑んできました。高度な文化を持たなかった先住民ですが、身の丈にあった環境に負荷をかけない暮らしを続け、何万年にも渡り生き永らえてきました。今、人類は、環境を破壊して様々な問題に直面しています。地球がだめになったら別の惑星に住めばよいという考えを持つ人もいますが、それではいつか破綻することは明らかだと思います。今さら先住民のような暮らしに戻ることはできませんが、できる限り持続可能な暮らしに近づけないと、この地球を次世代へ引き継げないと懸念しています。


先住民の独自の画法があり、ひとつはdot paintingで、もう一つはX線画像のような手法。動物の骨格や内臓が透けて見えるように描かれています。

Ubirr

Arnhem Land(Kakadu国立公園に隣接する先住民保護区)の大湿原と草原を一望できるUbirrの展望地。

ここに来た時、なにかとても懐かしい気がしました。

Ubirrの息をのむほど美しい夕暮れ。2年間の豪州生活でたくさんの場所を訪れましたが、Kakadu国立公園はその中でも三本の指に入るくらい魅力的な場所でした。
明日はいよいよ最終目的地のDarwin。最終日前夜、最後の宿泊地、Jabiruで旅の無事を祝い、Ginger Beerで乾杯です。鰐を食べてみましたが、淡白で癖がありません。
宿泊地 Kakadu Lodge, Jabiru NT